第一章
※読む前の注意. ..まず始めに、
 この小説はムラサメライガーが、ジェネレーターと同化されない事を前提に書いています
 本編最終話のジェネレーターと同化している映像は、この小説の中では この旅が終わった後、、
 最後にムラサメライガーを、ジェネレーターの所へ持って行ったと言う構成になっています.
  (私個人の考察で、ルージ君がミロード村に帰って来て、
   一人で勝手にジェネレーターの中にムラサメライガーを入れるはずもないだろうし、
   ロンやソラノシティの人達に言われたならばともかくとして、
   ムゲンライガーにジェネレーターを再生させる力までがあるとは、気付かないだろうと考えたので
   こんなストーリー展開になっています).


▽エピローグ▼
 舞台は、ディガルド武国の脅威が無くなり、安息を取り戻したはずの惑星Zi の世界.
 主人公 ルージ君は、バイオティラノを倒した後、仲間に別れを告げ、、
  ムラサメライガーに乗って、ミロード村への帰路を走り続けていました・・・。
 
@ ◇◆◇ 新たなる旅立ち ◇◆◇____
 ムラサメライガーで走り続けるルージ君..
 戦争が終わった喜びを、早く故郷のみんなに報せたいと、
 ルージ君は、一直線にミロード村へと向かっていました.

 途中 野宿をして、更に幾つもの山や平原を駆け抜ける.
 そしてようやく、、地平の先に海が見える 小高い丘へと、差し掛かりました.

 『見えてきた・・。 』
  遥か遠くには、今は停止してしまった ミロード村のジェネレーターと、
  周りにある小さな家屋の群れが見えています.
  (( ・・・帰って、、 来たんだなぁ.. ))
  懐かしい故郷の潮の香りは、ルージ君の心を更に帰郷へと傾け、
  ムラサメライガーの足取りを速めさせます..

  ミロード村に到着したルージ君は、ゾイドから降りて 周りを見渡します。 しかし..
  (( 誰もいない.. ))
  村にはどこにも人気がありません..
 『そうか、、 みんな、ハーラさんのご好意で ハラヤードに移ったんだった・・・。
  でも、あの街のどこにいるか、わからないしなぁ・・。
  領主のハーラさんに、訊きに行かなくっちゃ... 』

 『ルージ!』
 『 ..父さん・・?』 
  振り返るって見ると、、
 『おにーちゃーん!!』
  駆けて来たファージが、ルージ君の胸に飛び込んでくる
  後ろには、、ラージ 父さん、、ミン ママ、、シオ ばあちゃんがいる・・。
  ファミロン家 総出で、ルージ君を迎えに来ていました。
 『ファージ、、 母さん、、 ばあちゃん、、 どうしてここに・・?』
 『何か 予感がしてな、、ルージが帰って来るんじゃないかと、村に戻って見た所だ..』
 『お兄ちゃん、僕らの住んでる場所、、 知らなかったから.. 』
 『ルージ、、戦争はもう終わったんでしょ・・? もうみんな 安心して暮らせる世界になったのよね・・?』
 『うん、、ディガルド武国の一番悪い奴をやっつけたから、、もう戦争は起きないよ.
  これからは “誰もが笑顔で暮らせる世界” を、みんなで作って行くんだ・・。』
 『そうか、 良くやった、、ルージ.. 』
 『おにーちゃん.すごーい!!』 『良くやったの
  ルージ君の凱旋を祝って、ミロード村の実家に泊まる ファミロン一家・・。
  明るく穏やかな時間が流れます..

 〜 翌日 〜
  村を見渡せる高台の草はらで、寝転がって空を見上げるルージ君.
  そこには 村を出て行く前と、 同じ匂いの風が吹いていました・・・。
 ((あー、、気持ちいい風だなー..   ・・みんな今頃、、何やってるのかなぁ・・? ))
  楽しかった旅と、長く続いた戦いの余韻に浸るルージ君..
  けれどルージ君の頭に浮かぶのは、どれも一人の少女の面影のある場面ばかり、、
  そして思い出は 戦いの最後、、 ジーンのバイオティラノとの決戦へと移る..
 ((そう言えばあの時、 俺、、
  ミィの笑顔が見たくって、、 ミィが居なくなってしまうのが、絶対嫌だって思ったから..
  だから・・ ))
  そこまで考え付くと、不意に顔が真っ赤に染まり、上体を起こすルージ君.
  両手で顔を二回ほど叩き、深呼吸をして、吹きぬける風で頭を冷やそうとします・・。
  強い風が、草木を揺らす.
  (( 今頃、、どうしてるんだろうな ?  ..ミィ ))


 〜 場面変更 ズーリの城内 〜
  (( ..あいつ 今頃 、、 何してるのかしら・・・? ))
 『・・・姫様、、聞いておられるのですか 姫様・・?』
 『..ぁ、、えっ?、、なに ダ・ジン?』
  キダ藩家老 ダ・ジンは、溜息を着く..
 『姫様、、昨日の戦没者告別式の折も、ずっとそのように、上の空でございましたな..
  明後日はいよいよ、我らが念願叶っての帰郷、、キダ藩に向かって出立の日ですぞ.
  姫様にも もう少し、、しっかりして頂きませんと 困りますぞ..!』
 『わかってるわよぉ..そんな事. 何度も言わなくったって、、私、ちゃんとできるんだから・・』
 『ですが姫様、、』
 『もぅ、ダ・ジンの話って、いっつも小言になるんだから・・・ 嫌い!! 』
  ミィ様は怒って、立ち去ります.
  後姿を見送る ダ・ジンの元へ、ラ・カンがやって来る.
 『..どうだ・・  ミィの様子は・・?』
 『はい、、それがまだ、いつものお元気が 戻らていないようで.. 』
 『そうか・・・。 』
 『やはりまだ、、ルージ殿の事を、気にしておいでなのでしょう。
  クッ、、ウゥゥ、、 姫様ぁ、、おいたわしい限りですじゃー』
 『・・・・』


  (( キダ藩に帰ったら、、、、  あいつには もう、、 会えないのかな・・? ))
 『..フンだ、、せいせいするわよ、、あんな奴、、もう 二度と..会えなくたって、、』
  立ち止まったミィ様は、不意に目蓋を擦る・・・.

 『ミィ、、こっちへ来なさい』
 『はい、、何ですか? おじ様、、』
 『私に付いてきなさい.. 』
  ラ・カンに連れられ、いつもと違うゾイド格納庫に着いた、ミィ様.
  そこには、一体のランスタッグが置かれていた・・・。
 『これは、、お前の母、、ミレが使っていたものだ・・・。』
 『え...お母さんの、、ランスタッグ・・?』
 『そうだ.. この機体は ゾイドコアが停止していてな、、暫く誰も扱う事ができなかったのだ・・。
  だが、、あの決戦の折、、破壊されたお前のランスタッグから ゾイドコアを取り出し、
  動かせるようにしておいた... 』
 『そうですぞ、、 』
  ダ・ジンが歩いてくる.
 『姫様のランスタッグは、あれほど破壊されておりましたのに、
  ゾイドコアだけは、奇跡的に無傷でございました.これもご先祖様のご加護ですじゃ 』
 『ミィ、、これをお前にやろう・・・』
 『、、でも、、 いいの・おじ様 !?、、これはお母さんの、大事な、、形見なんじゃ・・? 』
 『うむ、、 だが、お前が乗る方が、、ミレもきっと喜ぶだろう・・。
  その代り、と言ってはなんだが、、 お前に一つ、頼まれてもらいたい事がある・・。
  これに乗って ルージの所へ行って来てもらいたいのだ 』
 『..ルッ、、ルージのとこ・・? どっ、どうして、、 ..私 ・・?』
 『..私はかつて、ミロード村の住民達と約束をした.
  必ずジェネレーターを直せる職人を、村に連れて帰ってくると..
  それは、ディガルド討伐の後であろうと、、必ず果たすという約束であった・・・。
  ・・だが、 今の私には、キダ藩を再興すると言う積年の使命がある・・。
  そこで私の代わりに、、 お前に、
  ミロード村の住民達と交わした約束を、、 果たしにて来てもらいたいのだ..
  頼まれてくれるな・・ ..ミィ・・! 』
 『はい、、わかりました・・。 おじ様.. 私、、必ずおじ様の代わりに、約束を果たしてきます 』
 『うむ... だが、これだけは覚えておくのだ、、 お前はキダ藩の 次期 藩主を継ぐ身..
  必ず、成人する1年前までには、、 役目を果たし、キダ藩へと戻って来るのだぞ・・。』
 『はい、、おじ様・・・。』
 『... では旅支度を整えて来きなさい 』

 〜 再び ミロード村 〜
 体を起こして立ち上がった ルージ君.高台からミロード村の風景を眺めます・・・。

  家に帰ったルージ君は、夕食の準備をしている ミンママに話しかける.
 『母さん、、俺・・、ジェネレーターを直す為に、、職人を探しに行こうと思うんだ。』
 『えっ・・? もう行くのかい? せめて、もう少しくらい一緒にいられないのかい・・?
  せっかく家族みんなが揃ったんだから・・。』
 『うん.. でもやっぱり、、俺.. 行くよ..!
  いつまでも誰も居ない、、寂れたこの村を見ているのも、、 なんだかやるせないんだ・・・。
  それよりも 一日も早く、、 この村を復興させて、、また、みんなで暮らしたいからね・・・。』
 『そうだな、、職人探しは ルージが一度引き受けた事.. 行くのなら早い方がいいだろう・・。』
 『貴方・・ 』
 『だが、 旅立ちには何かと準備がいる、、 今日は一日 体を休めて、、
  出発は、明日準備が終わってからにしなさい・・・。』
 『うん、わかった。 そうするよ とうさん・・』


 〜 再び ズーリ.ゾイド格納庫 〜
 『これがハラヤードとその周辺の地図だ..くれぐれもハーラ殿に粗相のないようにな.. 』
 『はい、おじ様..! ..でも私、、まずはミロード村に行ってみようと思うの..
  あいつ、おっちょこちょいだから、、今頃もしかしたら、ミロード村についてるかもしれないから.. 』
 『そうか.. 』

 『あっ、、そうだ ダ・ジン..』
 『何ですかな? 姫様・・?』
 『ねぇ、ダ・ジン.. 今まで、銀ちゃんを、見かけなかった・・・?』
 『 銀ちゃん?..あ、あのディガルドの小僧の事ですか・・・?
  そう言えば、戦いからこの方、、とんと姿を見せませんな、、
  大方、、 故郷の家族の元にでも、帰ったのでしょう...』
 『そう.. 』 
 ((銀ちゃん..どこへ行っちゃったんだろう。 ・・やっぱり銀ちゃんにも、帰る所があったのかな・・・?))


 『では、頼んだぞ、ミィ! 』
 『はい、、おじ様・・・』
  ランスタッグに乗り込み、ズーリを後にした ミィ様. 意気揚々と ランスタッグを走らせる・・。
 ((待ってなさいよね、、ルージ.. ))


  その頃コト姉は、、レインボージャークで空中を回遊していた・・・。
 故郷のアイアンロックに 行こうかと考えていたが、何故か気が重く、踏ん切りが付かない...
 『どうしたら、、いいのかしらね・・?  クルックー..?』
 『クゥウェッ..!』
  相棒の鳥 クルックーは、今日も脳天気に鳴いている。
 『あ〜、、 みんな今頃・・ 何してるかなぁ? ...そうだわ・・!』


 〜 旅立ちの日 正午 〜
 『父さん、母さん、ファージ、、ばあちゃん..じゃあ俺、、行ってくるよ! 』
 『ルージ.体には気を付けてね.. 』
 『お兄ちゃん..がんばって..! 』
 『ご先祖様のご加護がありますように..』
 『ルージ..お前ならもう 心配はいらないと思うが、、 くれぐれも職人探しの件、 頼んだぞ・・』
 『うん! 父さん.俺、、 必ずやり遂げて帰ってくるよ・・ 』
  ルージ君が振り返って、ムラサメライガーに乗り込もうとしたその時・・・、

 『お兄ちゃん、見て!..あっちから 何か来るよ!! 』
 『あれは、、 ランスタッグ・・? 』
  ((もしかして・・?))
  ありえない偶然への期待が、ルージ君の胸を高鳴らせる.

 『待ちなさいよね ルージ !! 』
  息を切らして ミィ様が降りて来る.
 『ミィ!? どうしてここに・・? でもランスタッグは、壊れたはずじゃ・・・?』
 『ハァ、、ハァ、、これは、、お母さんの、、ランスタッグよ・・! 』
 『でもどうして・・? どうしてミィが、ここに・・?』
 『..もぉー、、貴方のせいでしょ!! 私はおじ様に頼まれて、来たんだから!
  ジェネレーターを直す職人を連れてくるって約束を、おじ様の代わりに果たす為によ!!
  元はと言えば貴方が、ザイリンなんかに ジェネレーターを壊されたりするからいけないのよ!
  せっかくおじ様と一緒にキダ藩に帰れるところだったのに、、
  もぅ、みんなルージのせいなんだからぁ!』
 『ごっ.. ごめん・・・ 』
  相変わらずの理不尽な理由で、ルージ君を責め立てるミィ様.
  一通り文句を言い終えると、 プイッと そっぽを向いてしまいます.
 『..仕方が無いから もう少しだけ、、ルージの旅に付き合ってあげるわ・・.』
 『うん、ありがと... 』
  何だかんだ言って2人とも、、久しぶりに会えた嬉しさを隠せないようで、口元が綻んでいます。


 『お兄ちゃん 見て!空からも、何か降りて来るよ・・!?』
  そこへレインボージャークが舞い降りてくる。
 『あれは、、コトナさん..!? 』

 『わぁ、どうしたんですか・・? コトナさん!?』
  ムッとするミィ様.
 『ルージ、、会いたかったわぁ..!!』
  降りてきたコト姉は、ルージ君に抱きかかる. 更にムッとするミィ様.
 『ワッ、ワァッ !?  コトナさぁん ?』
 『ミィも、、元気だった・・・?』
 『..元気よ。元気に決まってるでしょ・・』
 『そうね.. 』
 『コトナさん、、どうしたんですか 一体? ..こんな遠い所まで・・? 』
 『私も、、 ルージのジェネレーターの職人探し、、手伝ってあげようかな って、思って・・・』
 『なっ、、何でコトナまで、付いて来るのよぉ?』
 『あらミィ.. そう言えば何で ミィは、 ここにいる訳..?
  ..もしかして..ルージに会いに来たのかしら・・?』
 『ちっ、、違うわよ・・! 私は、おじ様の代わりに、、
  ..ジェネレーターを直せる職人を連れて来るって、約束を果たしに来ただけなんだから..
  ルージの事なんて、全っ然 !! ..関係ないわよ!! 』
  『コトナさん、いい加減に離れてくださいよ・・』
  コト姉は、ルージ君を後ろから抱き締め、頭をなでている..
 『..あら、そうなの..
  ..でね、ルージ♪..私も約束を思い出したのよ。 ほらほらぁ、覚えてるぅ♪?
  ハラヤードで初めて会った頃、ガラガの前で、、フィアンセのフリをしてもらったじゃない・・。
  あの時の約束♪』
 『..あっ、、あの、、ジェネレーターを直す職人探しを、 手伝ってもらえるってやつですか・・?』
 『そう..♪』
 『でも、、あの時の約束じゃ..流石にもう・・
  ..フィアンセのフリだって、結局 ガラガにばれちゃいましたし..
  それに俺、、 今までいっぱい、コトナさんに助けてもらいましたから、、
  これ以上、御迷惑を掛けるわけには・・・』
 『..そうよ、、この旅にコトナの力 なんか、いらないんだから・・』
 『もぅー、そんなみずくさい事, 言わないの
  折角戦いも終わったんだし、、また一緒に旅しましょうよ♪ きっと、楽しいわよぉ・・・!
  ミィも それで、、 いいでしょ・・・?
  ・・それとも まだ、、私が付いてきたらまずい訳でも,,あるのかしら ?』
 『なっ..無いわよ..! ある訳ないじゃない・・!
  ...でっ.. でも、、もうディガルドはいなんだし、、ルージには私が付いてるんだから、、
  コトナまで来る必要なんて 無いかもしれないわよ!』
 『じゃあ ルージとミィは、、 最初に行く場所 ・ 決まってるの・・?』
  顔を見合す2人
 『いやその、それがまだ、、なんにも・・・. とりあえずは大きな街から回って見ようかと..』
 『そっ、、そうよ。 おっきな街よ・・ハラヤードよりもずーっと大きくて、、
  人がいーっぱい居る交易都市なんかへ行けば、、   きっとすぐ見つかるわよ! 』
 『フフーン・・? ほ〜ら やっぱり、、 私が必要みたいじゃない・・? 』
  ルージ君から離れ、、二人の前に立つコト姉
 『ほら、前にロンが言ってたじゃない・・?
  大昔、地上にジェネレーターを置いたのは、ソラシティの人達だって・・・. だから..ね? 』
 『あっ、そうかぁ、、そうでしたよね・・・。
  つまりあの人達なら、、ジェネレーターを直せる技術も、持っているかも知れない。
  ..そう言うことですよね・・?』
  コト姉は嬉しそうに頷く.
 『よーし、それじゃあ 早速、、ソラの人達に会いに行きましょう.
  あっ、、でも待てよ.... 今、ソラの人達は・・  どこに居るんだろう・・・? 』

 『ズーリよ・・・』
 『ミィ・・? 知ってるの?』
 『ダ・ジンのおじ様がね、、ズーリから私達キダの民が いなくなった後でも、、
  ソラの人達は あの街に住んで構わないって、 許可をしてあげたのよ 』
 『そっかぁ、、じゃあ、、すぐに ズーリに向かいましょう 』
 『ええ ! そうしましょ ! 』
 ((ズーリ..... ))

 『また一緒に旅ができて、嬉しいわぁ..ルージ. 』
  コト姉はルージ君と腕を組む.
 ((ムッ !))
 『コトナさん.. こちらこそ、また よろしくお願いします...』
 『ほらぁ !! もう目的地は決まったんだし、、ルージはさっさと、、ムラサメライガーに乗りなさい!!
  早くジェネレーターを直して、私はキダ藩に帰るんだからね. とっととしなさいよ!』
  コト姉から、無理やり引き剥がし、、ルージ君の背中を押すミィ様
  ルージ君はムラサメライガーに乗り込みます.
   ((ミィ、、何であんなに、機嫌悪いんだろう・・?
   ...またよろしくな・・ムラサメライガー! ))

 『..じゃっ、、じゃあ、父さん、みんな、、 俺、行ってくるよ! 』
 『ほら、早く行きなさい!』
 『わかってるってば・・・』
  3人はゾイドで旅出って行きます。

 『お兄ちゃん、、大変そうだね・・・ 』
 『貴方、、ルージは 大丈夫かしら・・・? 』
 『うむ、、心配だな、、どうなる事やら・・・』

 再び、様々な困難待ち受ける 旅路へと向かう ルージ君.
 果たして、無事にジェネレーター職人を連れてくることができるのでしょうか・・・。





A ◇◆◇ ガラガ再加入イベント ◇◆◇____ (弱冠省略_主な内容は以下の通り.)
 ズーリに向かう途中、地図帳を見て、ガラガの故郷の町が近くにある事に気付いたルージ君.
 挨拶も兼ねて、、町の復興状況を見に行こうと言い出します。
 コト姉はしぶりますが付いてきます・・。
 町ではガラガが 木こりの男衆  (元ゲリラの主要メンバー達) を指揮して、
 復興作業に勤しんでいました。
 ガラガは旅するルージ君達を見て、とても羨ましそうにしますが、、自分は町の復興があるし、
 お袋を一人にしてはいけないと、留まる事を決意します・・・。
 ルージ君達が町を出て行く後姿を 羨ましそうに見ていたガラガは、、町の若い衆から
  『行って来てくだせえ、御頭 』 と言われます。
  『どの道そんな気の抜けた顔してたんじゃ、作業の邪魔にしかなりませんぜ』
  そして、ガラガの母親からも、『行っておいで』 と許可がもらえて、
 ガラガは、ルージ君達を追いかけてデッドリーコングで旅立ちます・・・。 
 『おーい、、待ってくれー. ルージ..ミィ、、 コトナーー!』
 『あぁ、、ガラガだ、、おーい! 』
 『ガラガの奴、、あんな事言ってたくせに、 やっぱり付いてくるんじゃない 』
 『えー、、また、ガラガも..付いてくるの・・・ はぁ... 』
 ((せっかくルージと2人っきりで 楽しい旅ができるって思ったのに、、
  いつの間にかミィも来てるし、、これ以上邪魔者が増えるなんて・・・ ・・・・そうだわ! 』
  レインボージャークがムラサメライガーを持ち上げ、空高く舞い上がる.
 『わっ、、コトナさん一体 何なんですか・・!?』
 『ルージ.疲れたでしょ、、私が運んであげるわ♪
  じゃあね.ガラガ、、ミィ、、私達は、先にズーリに行ってるわねー』
 『こらー待ちなさいよー!2人共ー!!!』 『待ってくれコトナーーー!』
 『ぉ、、 降ろしてくださいよ・コトナさーん 』
 こうして、再びガラガも加わった一行は、、一路 ズーリの街を目指すのでした。





B ◇◆◇ ズーリ ◇◆◇____
 ズーリに到着したルージ君一行.
 (( ..おや・・?あのゾイドは・・ ))
  その姿を遠くから眺めている、一人の怪しい男が居ます・・・。
  ルージ君達が、ゾイド置き場でゾイドから降りると、、
 『おーい!、、ルージ君、、みんな..久しぶりだねぇ..どうしたんだい一体? 』
  声を掛けて来た人物はロンでした.
 『ロン!? お久しぶりです! 』       :〔ルージ君〕
 『何だロン.久しぶりじゃねぇか  』      :〔ガラガ〕
 『そう、、貴方もここにいたのね・・? 』    :〔コト姉〕
 『いやぁ、ソラシティがなくなちゃったからねぇ、、僕の帰る場所はもう.. ないのさ.
  今はここで、、ソラシティの仲間達と、戦後の復興作業の手伝いみたいな事をしているんだよ・・・』
  故郷を無くしたと言うのに、全く悲壮感を漂わせず、明るい口調で話すロン.
 『そうだったんですか・・』
 『ねぇロン.おじ様達は、、』
 『、、ラ・カン達かい・・・? 一昨日、キダ藩に向かって旅立って行ったけど、、』
 『そう、、おじ様、やっぱりもう、、 行ってしまわれたの・・・』
 『もしかしてミィ、、ラ・カンに会いたかったのかい・・?』
 『..そう言うわけじゃ、、 』
 『それでルージ君.  今日は一体どんな用件で、、この街に戻って来たんだい・・?
  まぁ、、大体 想像はつくけどねぇ.. 』
 『はい.. 今日は俺、、ミロード村のジェネレーターの修理の件で、、
  ソラシティの人達の力を貸してもらえないかと思って、ここまで来たんです・・・』
 『やっぱりそんなところか、、そりゃ ちょうど良かった.プロメ部長と話して見るといいよ・・・』
 『えっ、、ちょうど良かった・・?』

  プロメ部長の部屋へと案内されるルージ君達.
 『お久しぶりですプロメさん.早速なんですが、どうしてもお聞きしたい事があるんですが..  』
 『ジェネレーターを修理する方法.. に付いてですね・・・?』
 『えっ、、はい..! 何で..わかったんですか・・?』
 『ロンに聞いていました・・・。 それに、 ちょうど私達も今、、
  ジェネレーターの構造解析に、取りかかろうとしていたところなのです・・・。』
 『構造解析・・ ですか・・?』
 『そうです.. 先のジーンとの決戦の折、、
  進軍したバイオティラノによって、、 ジェネレーターもろとも破壊された街が いくつかあります・・・。
  その街の復興を手助けする為、、 そしてジーンに力を与えてしまった私達が、
  せめてもの償いをすると言う意味でも、
  私達には、、ジェネレーターの修理法を探す義務があるのではないかと、感じられたからです・・』

◆ロンが語り始める.
 『ルージ君..知ってたかい?
  ジェネレーターは、この大陸の地脈に沿って設置されてるって事を・・・』
 『えっ、、あっ、、はい、、確か 文献にも、そんな事が...』
 『地脈・・?』     :〔ミィ様〕
 『地脈って言うのは、地下深くにある いろいろなエネルギーが流れている所..
  まぁ 言って見れば、、この惑星の 血管みたいなものさ.
  ..レッゲルも地脈を通って、いろいろな場所に運ばれて行くんだよ・・。』
 『へぇーー』
 『そもそも レッゲルってのいうは、、 ゾイドにとっては 栄養豊富なエネルギー源になるけど、、
  他の生物にとっては、必ずしもそうじゃない・・。 むしろ逆に、、害になる場合が多いんだ.
  だから体に取り込んでしまうと、成長が阻害されたり、命を失ったりする危険があるんだよ.
  ジェネレーターで定期的に、レッゲルを汲み出さなければ、
  地脈から溢れてきたレッゲルは、地表付近まで上昇し、、
  ジェネレーターの壊れた街どころか、、やがては 近くの山や河まで汚染され、、
  草木が枯れ、生き物の住めない場所になってしまうんだ・・・。
  病気が流行ったりするのも、気化したレッゲルを 肺に吸い込んでしまうせいなのさ・・』
 『そうだったんですか・・』
 『まぁ、ジェネレーターで精製された段階なら、そんな事はないんだけどねぇ・・
  とにかく、そうなるのを防ぐ為に、、 僕らはジェネレーターの構造解析に、着手しようとしている。
  ..とまぁ、こう言った訳さ. ..これでも、みんなで協議して決めた事なんだよ. 』 ◆


 『あの、それで、、もし.. 構造解析..って言うのが終わったら、
  ..どこの街のジェネレーターでも、、 直せるようになるんですか・・?』
 『はい、、 そうです..
  現在、可能な限り多くの技術者達が、、構造解析に取り掛かろうとしています』
 『..スゴーイ!
  あの、、もしよろしければ、、 その、ついででいいんですが・・.
  ミロード村のジェネレーターも、直してもらえませんか・・?』
 『..もちろん、そのつもりです。 貴方には本当に、 お世話になりましたから.. 』
 『あっ、はい! ありがとうございます!!
  ..ヤッターー! これで村のジェネレーターが直るぞぉ!、、みんな戻ってこられるんだー.
  そうだ.早くみんなに手紙を出さなきゃ!』
 『もぉー、、 本っ当ー に.. 子供なんだから ! 』 :〔ミィ様〕
 『喜びに水を注すようで申し訳ないのですが、、何ぶん、ジェネレーターを設置した時代は古く、
  私達の中にも、現在その技術を扱えるものが いないのが現状なのです・・。
  本来、ソラシティの全ての情報を記憶していたメインデータバンクさえあれば、、
  そこから構造図を引き出すことも可能だったのですが・・、
  生憎、シティの崩壊と共に、完全に失われてしまいました。
  ですから完全に構造を解析し、修理できるようになるまでには、、
  まだまだ、時間がかかりそうなのです・・・』
 『はい、、それでも十分ですよ・・・!.  あの、、 どうか よろしくお願いします!』

  話を終え、プロメ部長にジェネレーターの調査の様子を、見せてもらいに行くルージ君.
  けれど、脳味噌の記憶容量を軽くオーバーした話に、、ガラガは混乱していた.
 『なぁ、みぃ、、さっきの話・わかったかぁ・・? 俺ぁ、途中からついて行けなくなってよう・・』
 『とっ、、当然!!  ..ガラガ  あんな事も,わかんなかったのぉ・・? 』
 『なら頼む!、、説明してくれ!』
 『えっ・・?  っ、、つまりあれよ、、 レッゲルを食べたら、お腹を壊すって事よ・・! 』
 『..そうなの..かぁ?』
  プッと吹き出すコト姉. そのままお腹を抱えて笑いを堪える.
 『あ〜、、何よ コトナァ!?』
 『だッ、、だってミィ .. ミィったら...ウフフフッ、、フフッ、、 面白いんですもの・・ 』
 『もぉーー、いいわよ! ..コトナなんか知らない!! 』
  プーッと顔を膨らませて、立ち去って行くミィ様..
 『あ、、待ってミィ、、置いてかないで・・・?プッ フフッ、、アー、、くるシー、、タスケテー...』
 『..大丈夫かぁ、、コトナ』
  涙目で笑いを堪えているコト姉を 置き去りにして、ミィ様は廊下を歩きます、、
  途中でロンとすれ違い.
 『あ、、そうだロン.. 銀ちゃん、、見なかった・・?』
 『銀ちゃん・・? んー、、いや、 あいにく僕は、見かけてないけど・・・ 何かあったのかい・・?』
 『 そう.. ううん、何でもないの・・・』
 ((やっぱり、、家族の所に、帰っちゃたのかな・・・. 銀ちゃん... ))


 〜 翌日 〜
  ルージ君は ジェネレーターの入り口を、眺める事のできる草場で、
  ソラの人達の仕事ぶりを見学していた.パラ部長の指揮のもと、
  何人もの技術者達が激しく出入りを繰り返している・・。
 『ちょっとー、、 こんな所にいたの・・ルージ ? 』
 『ミィ.. ?』
 『貴方、、こんな遠くから見てて楽しいの・・?もう少し近くへ行った方が いいんじゃない?』
 『俺、、何も手伝う事 できないから..せめて邪魔しちゃいけないと思って、、』
 『ふーん..』
  ルージ君の左隣の草むらで、体育座りする ミィ様.
 『ねぇ、、ルージ... ルージはジェネレーターの修理が終わったら、、 どうするの・・・?』
 『俺は、、 ミロード村で教師になるよ。 教師になって、みんなにいろいんな事を教えるのが、、
  俺の夢だから・・』
 『..そうよね..』
 『そう言えば、ミィ.. ミィは これが終わったら、、キダ藩に帰るんだったよね・・・』
 『うん、、』
 『そうだよね..  』
  黙りこむ2人..
 『たっ、、たまには、、ルージも 、、キダ藩に遊びに来ても ..いいわよ・・・』
 『うん、行くよ..  ..でも、確かキダ藩って、、 大分遠いんだったよね..
  ・・・滅多に、、行けないかなぁ・・』
  黙りこむ2人.
 『・・・もぉー.. いいわよ! ルージなんか、来なくたって いいんだから・・!』
 『え、、いや 、、..いっ、、 』
  2人の姿を見つけたコト姉が、駆け寄ってくる.
 『あっ、、いたいた、、ルー..』
 『 行くよ! 俺、、ミィに逢いに、絶対キダ藩に行くから・・!!』
  ズキッ   コト姉は、胸の中で何かが傷むの感じた. ((えっ・・? ))
  ミィ様は、顔を赤らめる.
 『えっ・・・・? いっ、、 いいわよ、ルージなんか..  来なくったって、、全然誰も困らないんだから・・』
 『いや、俺、、 村が落ち着いたら必ず、、 近い内に 遊びに行くよ・・・』
 (( ..遊びぃー!!? ))
  ルージ君の頬を、つねって伸ばす ミィ様
 『まさか貴方、、本っ当ー に ただ、、 キダ藩に遊びに来るだけじゃないでしょうね・・・?
  ..何か用事の一つぐらい あるのよね・・・? 』
 『え、、いや、、その、、 ラッ、、ラ・カンにも会いたいし、、』
 『・・・』
 『それに、、そうだ、、ダ・ジンさんや ティゼさんにも、、挨拶しなくちゃいけない ..かな・・? 』
 『 ..もぅ、、 ルージなんか、、 ルージなんかぁ、、 絶対キダ藩に来ちゃ ダメなんだからー!!』
 『えー?、、ちょっ、ちょっと待ってよ ミィ..!?俺、キダ藩に行くったら、、 行くよ・・!』
 『あんたなんか、絶対入れてあげないわよぉ!
  もぉし来たら、、全ランスタッグ隊で串刺して、丸焼きにしちゃうんだからぁ!!』
 『そんなぁ、、待ってよ、ミィ.. ミィってばー、、どうしてだよー? ..何で急に?』
  いつもと変わらない二人のやり取りを見て、、少し安堵を覚えるコト姉..
 『あー、、いたいた、、 ルージ君、ミィ、、こんなところにいたのかい・・? それに、、コトナも..』 
 『ロン・・?』
  様子を見に来たロンが ルージ君の右隣に、コト姉も ミィ様の左隣に座る・・。
  ミィ様はプイッとそっぽを向いたまま、ルージ君やロンとも顔を合わせない・・。
 『どうしたんだいルージ君、、ミィとケンカでもしたのかい・・?
  小声で尋ねる ロン.
 『え、いや、、そんなつもりじゃ、、無かったと..思ったんだけど、、、』
 『ふーん、、まぁ、、何だかいろいろ 大変そうだねぇ.
  ところで どうだい?ジェネレーターの調査の方は、、 進んでそうかい・・?』
 『あっ、はい! 、、皆さん 凄く張り切ってるみたいで、、さっきから ジェネレーターの中と外を
  人が引っ切り無しに 往復してるんですよ.』
 『そうか、、みんな良く がんばってる見たいだねぇ・・』
 『でも 俺、、何にも手伝えなくて、、 俺の村にも関係のある事なのに、、このままでいいのかなぁ・・?』
 『まぁ、ルージ君が出て行った所で、しょうがない事だからねぇ..
  ここは、僕らソラシティの 優秀な技術者達に任せておいて、
  君達は旅の疲れでも癒しているといいよ。』


 『そう言えばロン.. 俺、、ずっと考えてたんですけど..
  どうしてこの世界では、大変動から数千年経った今でも、、
  人間や他の生物は ジェネレーター無しで暮らす事ができないんでしょうか・・・? 』
 『どう言うこと・・? ジェネレーターがレッゲルを取り除いているから、
  私達は暮らせてるって、、 昨日、ロンの話で聞いたじゃない.. 』  :〔コト姉〕
 『ええ、でも、、 ソラシティの文献では ジェネレーターが各地に設置されたのは、
  “神々の怒り” で、 世界が一度 崩壊した後なんですよね.. という事はつまり、、
  “神々の怒り” より以前には、ジェネレーターは必要なかった、、
  そう言う事になりませんか・・? 』
  ピクッ、、 そっぽを向いていたミィ様も、、ルージ君の話に反応を示す.
 『んっ..ぁぁ.. 面白い所に気付いたね、ルージ君..
  確かにそうなんだけど、、
  でもそれは、、 僕らソラシティの人間にも、まだ良くわかっていない事なんだ・・・。
  一説では、この惑星自体が休眠の時期に入ってる.. ってのも あるくらいだから、、
  まあ、ほんとの所、、ソラノシティの学者達の知識を持ってしても
  まだ、全く と言っていいほどわかっていない って事なんだ・・・。
  でも、、唯一つ、確かな事は...
  ..10年ほど前、、 ソラノシティの調査団が、別の大陸..そう、
  かつて古代人の文明が最も栄え、星の中心なんて呼ばれていた大陸 に行った時の事だ.
  そこにはジェネレーターが無くても 緑が再生している場所が、、あったって言うんだよ・・・!』
 『..その話、、確かなの・・?』  :〔コト姉〕
 『うん、まあ、、 彼らは、当時のソラノシティでも、エリートだけで編成された調査団だったらしいし、
  それにゾイドには当時の記録映像も残っていたらしいよ.
  残念ながら..それも ソラシティと一緒に、失われちゃったんだろうけどねぇ..』
 『そう、、惜しいわね... 』
 『その報告によるとね、、なんでも 緑地の再生が始まっていたのは、、
  “惑星(ホシ)の傷跡” (:[仮称])  って呼ばれる、
  世界崩壊時の 破壊の爪跡を最も克明に残す、、巨大な空洞の付近だったらしいんだよ・・・。
  まぁ、
  何でそこいら一帯だけ、緑が再生していたのか何て、、 全く誰も,, わかってないんだけどねぇ.. 』
  全員が、一時 沈黙する..

 『スッ.. スゴーイ..!本当なんですね.. ほんとに もう、
  ジェネレーターが無いのに、緑が蘇っている場所が、、あったんですね・・・?
  凄いなぁ、それならもしかして、、俺達の住んでいるこの大陸も、、
  いつかジェネレーターがなくても、人が暮らせるようになるのかも・・・?
  そしたら ミロード村のジェネレーターも、、直す必要が無いのかもなぁ・・』
 『まあまあ..ルージ君.. その星の傷跡の周りだって、
  数千年かかって、ようやくそこまで 緑を取り戻してきた訳だから、
  僕らの住んでいるこの大陸が、、一年やそこらで 急に緑が蘇るなんて事、、ありはしないよ・・・。
  それよりもまた..数百年、数千年とかかっても、
  ここまで再生して来ない可能性だって、ある訳だしね・・?』
 『そっかぁ、、やっぱりそんなにうまくは いかないんですねぇ.. 』
 『バッカねぇ ルージ..当たり前じゃない!
  それで ロン. どうしたら、、星の傷跡とかって 見に行けるの・・?』
  今まで怒っていた事も忘れ、すっかり話に飲まれてしまったミィ様.
 『えっとぉね〜...  ..その前に、、』
  グゥ〜ッ!・・  ロンのお腹が 大きないびきを掻く.
 『う〜ん..そろそろ、お腹も空いて来た頃だしねぇ、、
  どうだい、、話はまた後にして、、みんなで昼食を取りに行かないかい・・?』
 『あっ、、いけない! 忘れてたわ.. そう言えば私、、
  ルージ達に、お昼ご飯ができたって 言いに来たんだった・・・』
 『もぅー、何言ってるのよコトナ. 今までずっとここにいたのに
  そんな事言うのも忘れてたの・・? 』
 『ごめんなさい.. 』
 『じゃあ、僕らは早速、、お昼にありつきに行こうか・・』
 『そうですね、、』
 『賛成ー! 』
  コト姉は先に行く三人の後ろを、少し遅れて歩く..
  風が髪を揺らし、、立ち止まるコト姉..
  ((..さっきのは、、やっぱり、、、 気のせいよね..? ))
 『もぅー、、何やってるのコトナァー! 置いてっちゃうわよー 』
 『あー、、待って 今行くー! 』
  駆け出して行ったコト姉は、ルージ君の腕に寄りかかる..
 『ねぇルージ、、今日は私が腕によりを掛けて お料理したのよ・・・。
  ルージにはお腹 いっぱい・食べて欲しいなぁ・・』
 『えっ、コトナさんの手料理ですか・・? うぁー、、嬉しいなぁ、、
  コトナさんの作った物って いっつもおいしいですよね・・』
  また ムーッとするミィ様..
 『コトナの手料理かぁ、、そりゃあ楽しみだ.』
 『あらぁ ..貴方の分は あったかしら・・・?』
 『え? 僕の分ないのぉ・・? そりゃ無いでしょ!?』
  笑いの絶えない、会話をしながら、4人はズーリ城内の食堂へと向かいます.

 ズーリの食堂に着いたルージ君達..そこでは一足先に ガラガが食事を取っていた.
 『おぉ、、コトナァ! どこにいたんだよ、、ずっと探してたんだぜ.』
 『、、ガラガ、、それ、、もしかして..? 』
 『なんだ、ルージ達と一緒だったのかぁ・・
  いくら探しても見つからねぇからよぉ、 腹減って、先に昼飯食ってた所だ..
  やー、それにしても この料理、、 うんめぇなぁ !』
 『..それは・・ ..私が作った料理よ.. 』
 『何ぃ!? コトナの手料理か!? どおりで うめぇ訳だ.. よーし御替りもらお!』
 『あんたは十分 食べたでしょ!!』
  料理にたかるガラガに、肘打ちを食らわせつつ、鍋を覗き込むコト姉.
 『あぁ、、折角 ..ルージの為に作ったのに、、
  もぅこれだけしか残ってない... はぁ、、仕方ないわね.. 』
  コト姉は、お皿に料理をよそおう
 『はいルージ..少なくなっちゃったけど、 まだ おかわり三杯分はあるから、しっかり食べてね..』
  微笑むコト姉の後の、、 ミィ様、ロン、ガラガの視線が痛い.
 『いや、、あのーー、、コトナさん..
  こう言うのはやっぱり、、みんなで食べた方がおいしいんじゃないですか ?
  他の人にも分けてあげてくださいよ 』
 『...しょうがないわねぇ、、  はい、ミィ、、  はい、、ロン.. 』
 『わーい』  『やった』 
 『じゃ、俺も..』
  よそおうとするガラガ
 『ガラガに上げる分なんか,, もうないの!!』
 『ちぇっ.. 』

 『いっただきまーす』 :〔一同・ガラガ除き〕
 『ワー、、これおいしー 』
 『こっ、これは!? ..アイアンロックに伝わると言う、、まさに魔法の料理..!
  話には訊いていたけど、、 まさか これほどの物とはぁ..
  ..いやー全く、、コトナは凄い !
  ソラシティでもこれだけの料理を作れるシェフには、中々お目にかかれないよ...』
 『もー、御世辞ばっかり、、 たまたま いい食材があったからよ.
  それに、ソラの人達が育ててくれた 取れたての野菜もあったしね』
 『..ロン、、分けてくれぇ、、!』
 『わっ、バカ! 寄るなガラガ..毀れる!』
 『ルージはどう、、 おいしい・・?』
 『はい、、おいしいです、、やっぱり、お替りしちゃいたいくらい おいしいなぁ..』
   『..ガラガに食われるぐらいなら !』
   『あ、、コラ、、 こいつ!一気に飲みやがったぁ!・・吐けー!!.. ちっくしょーー. じゃ、、ミィ- 』
   『..上げないわよ !!』 『・・・だよなぁ.. 』
 『そんなに食べたいなら、、 私、、ルージの為に、、毎日作っちゃおうかな・・・?』
 『いいんですか!?』
  ムッとするミィ様..
 『でも毎日、ただ じぃーっと、ここで、、
  ジェネレーターが直せるようになるまで 待ってるってのも、、 暇よねぇ..!』
  ミィ様がルージ君を、横目で睨む.
 『、、そうだ、、 それに付いてなんだけどねぇ、、』
  ロンが口元を拭き、何かを思い出したように語り始める..
 『ルージ君、 君にはまた、、ジェネレーター修理の 職人を探す旅に、、出てもらえないかな・・?』
 『はい ? ..どう言うことですか・・?』
 『いや..ね. ジェネレーターの調査にも、まだまだ時間がかかりそうだし、、
  いっそ 修理できる職人を連れてきて、 そのやり方を説明してもらった方が、
  構造解析の時間も 大幅に短縮できるんじゃないかって、思ってね..? 』
 『そうですね・・!』
 『それに戦いが終わった後の世界を見て置く ってのも、、
  もしかしたら、僕ら戦いに勝利した側の人間の、勤めなんじゃないかって,, 思う訳だ・・・』
 『..そうかも.. しれませんね・・。
  俺ならいいですよ.ここにいてもできる事はないですし、、
  俺にできる事があるなら、なんでも手伝いたいですから. 』
 『よーし、それなら ぜんは急げだ! 早速明日の朝 出発しよう.
  ルージ君、、 僕も付いて行くからね♪.またまた、よろしく♪』
 『えー、、明日ぁ? いきなり 明日の朝 ..出発なの?』
 『何だい ミィ ?  暇なんじゃ.なかったのかい・・? 』
 『、、そうだけど、、
 『ガラガとコトナはどうする・・? 一緒に来る・・?』
 『えっ? えぇ、私も行くわ.約束もあるし』
 『おーし、 コトナが行くなら、俺も行くぜぇ!』
 『そっか、そっか、、じゃまた.. みんなで旅ができるねぇ.
  よーしみんな、、食事が終わりしだい、、 早速準備に取り掛かってくれたまえ!
  それじゃあ僕は、いろいろと、やる事があるんから、、先に失礼させてもらうよ.
  コトナ、料理ご馳走様..おいかったよ!』
 『ぇ・・えぇ.. ありがと』
  そそくさとロンは、食堂を出て行く.
 『何だってんだ あいつ・・?』


 〜 夜のテラス_ロンとプロメ部長 〜
 『良いのですか ロン・・? ..何一つ 話さずにおいて・・・』
 『ええ、、 彼には その目で直接、現状を見てもらった方が良さそうですからねぇ.. 』
 『..けれど彼にとっては、 とても辛い光景になるかもしれません・・・大丈夫なのですか・・?』
 『大丈夫ですよ・・プロメ部長.
  ルージ君は今まで、、こう言った苦境を幾つも乗り越えてきたんです.
  彼はこんな事くらいで、、全てを 投げ出したりは しませんよ ! 』 
 『..そうですね.. もしかしたら彼なら、、
  この最悪な状況を変えて行ける.. 何かを、、見つけ出してくれるのかもしれませんね・・・ 』
 『そう なってくれれば、、 いいんですけどねぇ.. 』

 翌朝出発するルージ君達一行.
 ロンの提案で、まずは ジーンに滅ぼされた街、、ジラに立ち寄って見る事にします。





C◇◆◇ 瓦礫の街_ジラ ◇◆◇_________
 ジラに到着した ルージ君一行.
 そこは黒く焼け焦げた 瓦礫の散漫する平野でした。
 『... 何も..ない・・・』  :〔ルージ君〕
 『 ひどい... 』      :〔ミィ様〕
 『何て事.. 』       :〔コト姉〕
 『ここが本当に、、大勢の人やゾイドで 賑わってたと言う.. ジラの街だってのか・・・?
  ...何で誰も、 復興させようとしねぇんだ・・?』 :〔ガラガ〕
 『そうよね..
  戦いはもう終わったんだし、、街の人達が戻って来ていても、、いいはずなのに..』 :〔コト姉〕
 『・・・・』         :〔ロン〕
  先の戦いで、、ジーンが討伐軍を滅ぼす為、 トラフへと進軍した折り、、
 その進路上に在った街は、ことごとく消滅させられました。
 ジーンの乗機 バイオティラノの “神の雷”は とても強力で、街一帯をえぐり取るように破壊し尽くし、
 残るのは 家屋の土台等の 黒焦げた瓦礫だけでした。
  幸いにも、こうして滅ぼされた街の住民達は、事前に攻撃を予測し、避難していた為、、
 全員が無事でした。
 ..けれど、彼らの姿はどこにもありません。

 『ルージ君.. 残念ながらこれが、、戦後の現状だよ・・・。
  ここと同じように ジーンに滅ぼされた街は、、 今も、復興の目処が立っていないんだ・・・。』 :〔ロン〕
 『どうして、 街の人達は 何もしないんですか・・・?』
 『....それは ..ね、、』
 『おっ.. !?  おい、 あそこに誰かいる、、行ってみようぜ。』
  ルージ君達は、瓦礫の上に腰掛ける老人を発見し、ゾイドから降りる。

 『大丈夫ですか、おじいさん。  どうしたんです・・?
  ここにはおじいさん一人しか 居ないんですか・・?』  :〔ルージ君〕
 『そうだぜ じいさん.家族はどうしたんだ・・?』     :〔ガラガ〕
 『わしは、天涯孤独の身の上じゃよ..ばあさんとは、3年前に死に別れた...
  この街がまだ、ディガルドに占領されておった頃にな..  ...まあ、だからこそ、、
  この見捨てられた街なんぞに、残ろうと言う気にもなったんじゃがな...』 :〔老人〕
 『見捨てられた.. ? 』
 『あぁ、、この街の連中はみんな、、 街を捨てて 出て行ってしまったよ。
  「ジェネレーターがなくなった街では、いずれ滅びるのを待つだけ、
  復興させても意味がない」 なんぞ言いおって、、 北の方へ行きおった...
  街に残っとるのは、わしだけじゃ..  住みなれたこの土地を 離れる事ができず、、
  ばあさんと過ごしたこの家の跡で、最期のお迎えを 待っとった所じゃよ..』

 『..そんな、、そんな事言わないでくださいよ・・・。
  もうすぐジェネレーターは直ります。  そうしたらきっと、、この街の人達だって戻ってきて、
  すぐに昔みたいに 活気のある街に戻りますよ! 』
 『 ....本当か・・? 本当にジェネレーターは、、 直るのか・・? 』
 『はい!
  俺、今、、ジェネレーターを直す為に、構造の調査をしている人達を知っているんですよ。
  みんな、とても優秀な 技師の人達です。
  あの人達なら きっとすぐ、 この街のジェネレーターを作り直してくれますよ。』
 『おぉ... 』
 『・・・・』 :〔ロン〕

 『だから もう、最期だなんて言わないで、
  後少しだけ、、俺の言った事を信じて 待っていてもらえませんか・・?
  きっと、おじいさんの大好きな 故郷の風景だって、 取り戻せますよ・・!』
 『そうだぜ じいさん! 生きてりゃきっと、 まだまだいい事あるって!!』         :〔ガラガ〕
 『そっ、、そうよ.折角ディガルドもいなくなったんだし、、長生きしなくっちゃ 損よ !』  :〔ミィ様〕
 『...体を、、 いたわって上げてくださいね・・・。』                         :〔コト姉〕
  ロンが フゥッと息を吐く.
 『そうそう..  たった一つしかない命、、大切にしなくっちゃねぇ... 』
 『....すっ、、すまないのぅ、、お若いさん方... 』

 『それじゃあ、俺..取り合えず 北へ向かった街の人達に、、
  事情を説明して 戻ってきてもらうよう頼んで見ます。
  お爺さんは それまでの間、、どこか別の... そうだ..ズーリの街に行って、、
  そこでジェネレーターが直るまで、暫く待っていてもらえませんか・・?
  俺.今、紹介状を書きますよ。』
 『何から何まで、、すまないのぅ... 』
 『それで じいさん、、街の連中が向かった先に、、何か心当たりはないのか・・? 』 :〔ガラガ〕
 『さぁのぅ、、場所までは言っておらんかった、、
  じゃが、討伐軍とやらに参加しとった 街のゾイド乗りの連中は、
  「今まで苦しめられた分、ディガルドから取り返す」 とか言ってのぅ..
  ディガルドの ジェネレーターのある街を奪い取って、
  そこに新しく、みんなで暮らせる街を作る などと息巻いとった..』
 『えーーっ!?』 :〔ミィ様〕    『何だってぇ・・?』 :〔ガラガ〕
 『そんな !?』   :〔ルージ君〕
 『.そんな事したら、、 そこに住んでいる人達は、、どうなるの・・・?』 :〔コト姉〕
 ((やっぱりか...))  :〔ロン〕

 『それは、いつ頃の話しなんですか・・? 』
 『さぁ、、正確な日付は覚えておらんが、、もうかれこれ、5日近く前になるはずじゃ..』
 『こりゃ、、急いだ方がいいんじゃねぇか・・?』  :〔ガラガ〕
 『ええ..』
  ルージ君は紹介状を書き始める。他の仲間達はゾイドに乗り込む.

 『おじいさん.. この紹介状を、ズーリの街の バナって人に見せてください。
  きっと 当面暮らせる家なんかを 工面してくれるはずです。
  ..それとこれは、ズーリに着くまでに必要な 食料とお金.
  このお金で、通り掛かりの商人なんかに出会ったら、バラッツに乗せてもらってください。
  本当は、、俺達が送ってあげたい所なんですけど、、
  一刻も早く、他の街のジェネレーターを奪うなんて バカな事、
  やめさせに行かなきゃならないんです。
  申し訳ないんですが、、一人でも大丈夫そうですか・・? 』
 『うむ、、大丈夫じゃよ.. これでも若い頃は、運搬の仕事をしとったからの..』
 『..すみません.. 気を付けて行ってくださいね・・・』
 『ほら何やってるのぉ.. みんな、出発の準備ができたわよ! 早くゾイドになりなさぁい!!』
 『わかってるよミィ! ..それじゃあ俺達、行ってきます.』
 『...お前さん、、名は・・?』
 『俺、ルージです. ルージ・ファミロンです・・・それじゃあ』
  ルージ君はムラサメライガーに乗り込み、一行は出発する。
 『みんな急ごう.. 北へ、、 ディガルドへ!』





D◇◆◇ 追われるバイオゾイド ◇◆◇____
・ルージ君達はゾイドで 北へ向かう途中、 とある峠道を走っていました。
 『このまま 峠を越えて行けば、ジラの街から 北へ向かった人達に、大分追い付けるはずです・・・。
  急ぎましょう..! 』
  ルージ君は地図帳を見ながら、ムラサメライガーを走らせる。
 ドーン!!
 『何、、今の・・?』         :〔ミィ様〕
 『この先から聞こえたぞ..!』  :〔ガラガ〕
 『私、、見て来るわ・・・』      :〔コト姉〕
  レインボージャークが先行し、狭い峠の一本道で、追いかけ合っているゾイド集団を発見する。
 『ルージ大変、、早く来て!!..バイオゾイドが..』
 『何ぃ、バイオゾイドだとぉ!?』
 『..バイオゾイドが、襲われてるの!』
 『えぇっ・・!?』

  ルージ君達は速度を上げ、前を走るゾイド集団に追いつく.
  彼らの更に前方には、バイオゾイド2体と バラッツゾイド;フィラソードがいた。
  威嚇の弾丸が、何度もバイオゾイドに向けて放たれる。
 『待ちやがれぇ!』
 『止まらねぇと、ゾイドをぶっ壊すぞぉ! こっちにはリーオの弾があるんだ!!』
 『ディガルドの奴らなんざ、構うことねぇ..もう、やっちまおうぜ!!』
 『おう!』 :〔ゾイド集団・一同〕

 『待ってください、、いったい 何をやっているんですか!?』  :〔ルージ君〕
 『貴方達、、
  リーオの弾を持っているって事は、、元は討伐軍に参加してた人達でしょう・・?』  :〔コト姉〕
 『それが何で、、たった2体のバイオゾイドと、
  バラッツ相手に、みんなで追いかけ回してるのよぉ!?』  :〔ミィ様〕
 『うるせぇ!何だてめぇらは!?』
 『これは俺達の街の問題なんだ! よその奴らは引っ込んでろ!!』
 『何ですってぇ..! 』 :〔ミィ様〕
 『待っ.. 待ってください!
  俺です.ルージです! ..討伐軍の指揮を取った事もある、ルージ・ファミロンです!
  どうか話を聞かせてください。』
 『何ぃ、、ルージ・ファミロンだとぉ・・・?』
 『..討伐戦争の、、英雄..かぁ・・?』
 『 .. あの青いライガー、、確かにそうだ.. 』
  ざわざわとどよめき、前方のゾイド達は足を止める。
 『ふうっ..  とにかく話を聞かせてください..
  貴方達はなんで、前にいるバイオゾイドを攻撃してたんです・・?』
 『そうよ!
  いくら相手がバイオゾイドだからって、これじゃあ 山賊と一緒じゃない !! 』 :〔ミィ様〕
 『そいつは違うぜ..
  こいつらディガルドの連中は、俺達の街から奪った物を、持ち逃げしてるんだ。
  俺達の街の連中は、ろくに食いもんも与えられずに 働かされて、
  みんな やせ細っちまったって言うのによぉ..
  まだ、こいつらだけが贅沢に暮らそうだなんて、、許せるわけねぇだろうが!?』
 『だから、それを返してもらおうって言ってるだけだぜ!』
 『そうだ.そうだ!!』  :〔ゾイド集団・一同〕
 『どっ、、どうか信じてください。 私達は、、 故郷に帰るのに必要な食料を、持ってきただけです.  
  後は本当に少量の家財道具なんです.』 :〔バラッツからの通信.〕
 『嘘付きやがれ.. この盗人が!!』
 『お前らが街を占領したせいで、、みんな苦しい想いをしてきたんだ!!
  お前らに持ってかせる物なんて、、一つもある もんか!! 』
 『さぁ、、とっとと 荷物を置いて..ディガルドだろうが、どこだろうが行きやがれ!』
  バンッ !!
 『ヒッ、、』
  砲声が鳴り響き、威嚇に怯えたバラッツの操縦者が ゾイドを走らせる。
 『あっ、、逃げやがった。』
 『待ちやがれー! 追えー!』
 『やめてください..みなさん、やめてください・・!』
  ルージ君の声にも耳を傾けず、ゾイド乗り達は、彼らを追って峠を駆け上がって行く。
  再び追いかける ルージ君達.

 『ちょっとー、やめなさいよ..!
  いくらなんでも ここまでするなんて かわいそうだわ。 ..もう見逃してあげなさいよ・・!』
 『そうだぜ..
  いくらディガルドが憎いからってよぉ.. あいつらだって食わなきゃ生きていけねぇんだしよ、
  ..ここはそろそろ、、許してやってだな・・』
 『うるせぇ! お前らには関係ねぇんだ! 邪魔すんな!』
 (( くそぉ、、何を言っても無駄なのか・・? ))
 『・・・コトナさん、、こちら側に居ても 埒があかない.. レインボージャークで、
  俺のムラサメライガーを、あの人達の前まで 運んでもらえませんか・・・?』
 『わかったわ !』
 (( どうすればいいんだ・・どうすれば こんな事、、やめてもらえるんだ・・? ))
  レインボージャークが運んでいる最中、一体のバイオゾイドがリーオの弾で撃破されてしまう。
  残るもう一体のバイオゾイドは、ヘルファイヤーを使って距離を取ろうとするが、
  次第に追い詰められていく。
 『やめろーー!  ムゲン ライガー..!! 』
  レインボージャークから放られるムラサメライガー。
  ルージ君は空中でエヴォルトを開始しさせ、
  ゾイド集団の前に、着地すると同時に ムゲンライガーが姿を現す。
 『もう、いい加減にしてください!!』
 『すっ、、姿を変えやがった..』
 『この人達にだって生きる権利はあるはずです!
  生きるのに最低限 必要な物まで奪い取ろうとするなんて、、
  これじゃあ貴方達も、、かつてのディガルドとおんなじだ!
  ..これ以上、この人達を攻撃するって言うのなら、  ..俺が、、
  俺が、力ずくでもあなた達を止めます!!』
 『ルージ.. 』 :〔コト姉〕
  ルージ君の言葉で、どよめくゾイド乗り達.
  その隙に、バラッツゾイドへと通信を繋ぐ.
 『今の内です、、早くこの場から逃げてください・・・!
 『ありがとうございます.. 』
  バラッツとバイオゾイドは、振り返り こっそりと逃げようとする。
  ((あの野郎..))
  それを見つけた1人のゾイド乗りが、銃口をバラッツに向ける。
 『..許せねぇもんは、許せねぇんだよぉ!!』
   リーオの弾丸が放たれ、一直線にバラッツのコックピットへと向かって行く..!
 『..危なーい!!』
  ムゲンライガーがバラッツを庇って飛び上がり、、リーオの弾丸を受けた衝撃で、
  谷底までまっさかさまに転がり落ちていく。
 『うわぁぁぁぁー 』
 『キャーーーッ !!』 :〔コト姉〕
 『ルージ..!?』    :〔ガラガ・ミィ様〕
 『ルージ君!!大丈夫かい・・!?応答してくれ、、ルージ君! ルゥジ君!!』 :〔ロン〕

 『、やっちまった、、俺、、 討伐戦争の英雄をやっちまったよぉ..』
 『..どうすんだよ・・?』  『にっ、逃げろ.. !』
  ゾイド乗りの集団は、転進して 元来た方へと逃げ帰っていく.
 『、、おいっ!』
 『ガラガ、今は彼らに構ってる場合じゃない..それよりも早く.ルージ君を..』
 『私が、、』
  ミィ様がランスタッグで、谷底へ降りようとした時、
  レインボージャークが、まっさかさまに急降下して行く.
 『コトナ! ..ようし俺達も 行こうぜ.』
 『待ったガラガ! 僕らのゾイドじゃ、下には降りられても 登ってくる事はできない...
  ここはコトナに任せよう・・・』
 ((ルージ、、無事でいて...))  :〔ミィ様〕

  谷底に着いたコト姉は、そこですぐさまムラサメライガーを発見します。
  けれど 転げ落ちた時、上から岩が降って来たらしく、
  機体のほとんどが岩の下敷きとなっていました。
  コト姉はレインボージャークから降りて、
  かろうじて見えていたムラサメライガーの頭部へと飛び移り、
  暗器を使ってコックピットをこじ開けます。
  中にいたルージ君は、意識を失っていました・・・。
 『ルージ!..ルージ!!  しっかりしてルージ!!!』
 『あっ、、コトナ..さん... あれ、、 どうして・・・?
  ぼんやりと目を開くルージ君. それだけ言い終えると、再び目を瞑ってしまいます。
  額から血が流れ出てくる・・・。
 『ルージ!!?』
  コト姉は慎重にコックピットからルージ君を抱え出し、レインボージャークへと運びます。
 『ルージ..安心して、、必ず助けるからね・・・・』
  レインボージャークは、谷底から舞い上がる。

 『コトナ..!! ルージは ? ルージは無事なの・・?』  :〔ミィ様〕
 『わからない.. 頭から出血しているの....  ・・・でも絶対に、、死なせない
  みんな、この峠を越えた先に 村みたいなのが見えるわ。
  私は一足先に行って、ルージをお医者様に見せる。
  みんなも後から、追い付いてきて・・・!』
 『わかった、、頼んだよ、コトナ.』  :〔ロン〕
  レインボージャークは飛び去っていく.


  峠の下の村へと着いたロン達.村に一軒しかない診療所に向かいます。
  そこでは既に診察が終り、ルージ君はベットで寝かされていました。
  コト姉は、ルージ君の隣に座り込み、じっと様子を見ている。
 『どうだった、、コトナ・・?ルージ君の容態は・・?』               :〔ロン〕
 『..頭が切れた以外、、他に目立った外傷はないんですって・・・』
 『おぉ、良かったじゃねぇか.. それでルージは いつ、退院できるんだ・・・?』 :〔ガラガ〕
 『...でも ..ね、、 もし打ち所が悪かったら、、
  このままもう目を開ける事さえ.. ないかもしれないんですって.... 』     :〔コト姉_涙ぐみ・俯く 〕
 『何だってぇ !?』                                    :〔ロン〕
 『嘘だろ・・!? ルージが もう目を覚まさないかもしれねぇってのか・・? 』   :〔ガラガ〕
 『あくまでも、、打ち所が悪かった場合だそうよ.. でも...もし、、 そうなったら・・・』
  コト姉は肩を震わす。
 『..そんな訳ないじゃない.. いくらこいつが ねぼすけだからって、
  もうずっと 目を覚まさないなんて事、 ある訳ないじゃない..!
  ..それに こいつってば、食い意地もすっごく張ってるんだから、、
  きっと、明日の朝には,,なんにもなかったように起きてきて、、こう言うわ..
  「あぁ、お腹空いたなぁ.. そう言えば 昨日、何も食べてなかったんだっけ?
  ミィ、ご飯の時間ってまだ..?」  ってね・・・?
  だからちゃんと、、早めにご飯,,作っといて上げなくっちゃ・・・!
 『ミィ...  そうよね、、ルージならきっと、、大丈夫よね・・・・?』
  目蓋を擦って、立ち上がるコト姉.
 『どこ行くんだい?コトナ・・?』
 『私、替えの包帯を貰ってくる..そろそろお医者様に言われてた時間だから。』
  部屋を出て行くコト姉.
  ミィ様はイスに腰掛け、付っきりでルージ君の寝顔を見詰めている.
  暫くの間、部屋中には 重たい空気が流れる.

 『ガラガ、、僕らはどうしよっか・・?』 :〔ロン〕
 『んっ・・?』
 『ほら、そろそろ、、 僕はさっき一緒に来てもらった彼らに、
  話を聞きに行こうと思ってた所なんだけど、、  ガラガも一緒に来る?』
 『..おう、、そうだな..そうすっか』
 『..じゃあミィ、、僕らは バイオゾイドとバラッツに乗ってた人達から、、話しを聞いてくるよ・・・。
  ルージ君が起きたら、呼んでくれ.. 』
  ミィ様は頷く..
  ロンが扉を開ける..すると直後、、ルージ君が目を覚ました。
 『ん、、あぁ...
 『!?』
 『あぁ-、、良く寝たなぁ・・・!』
 『ルージ..!!』
 『えっ.. ミィ・・?
 『ルゥジ君!! ..良かったぁ、、目を覚ましたんだね・・?』 :〔ロン〕
 『ルージ!!』   :〔ガラガ〕
  あわててベットへ駆け寄る、ガラガとロン.
 『あれ、、みんなどうしたの・・?』
 『このぉ、心配掛けやがって..! お前、どうやってここまで来たか・覚えてるか・・?』
 『えっとぉ、、そう言えば俺..どうして ここにいるんだっけ? 
  ..確か、、追われてるバラッツを庇って、リーオの弾丸の前に飛び出して、、 それで、、
  あれ・・?それからどうしたんだっけ・・?』
 『..もぅ-ッ、バカねぇ..  その後 貴方は、 谷底まで落ちたの!!
  コトナがここまで 運んでくれたのよ・・。お医者様にも見せてくれたんだから..
  貴方 またみんなに迷惑かけたのよ
  そろそろ少しは、、 頼れるようになりなさいよね・・!』
 『..ごめん.. ..あれ・・?ミィ・・・ もしかして、泣いてるの・・?』
  瞳に涙を浮かべるミィ様、一滴が流れ落ちそうになり、あわてて袖で拭う.
 『そっ、 そんな訳ないじゃない..!
  私がルージの為なんかに、、 泣くわけないんだから.
  ..こっ、、これはね.. そう,, あんたがあんまり気持ち良さそうに寝てるから、、
  私までアクビが出て、、涙が溢れてきたのよ..!』
 『そっか.. 』
 『そっ、、そうよ.決まってるじゃない!!』
 『いやーまぁー、、とにかく良かったよ..一時はどうなるかと思って冷や冷やしてた所さ
  ルージ君が眠ったままじゃ、、旅は続けられないしねぇ...』
 『そう言えば、、あの後、あの人達はどうなりました・・?』
 『うん、ルージ君のお陰で事態は丸く収まって、、
  彼らにもこの村に付いてきてもらってるよ・・・。今は、外で待ってるはずさ.』
 『そうですかぁ、、よかったぁ・・・』
 『丸くぅ・・?そうだったかしら・・?』 『いいから..ミィ..! ここはそう言う事にして置こうよ』 『フンッ
  俯いて歩いていたコト姉は、開いたドアから聞こえる がやがやとした話し声に気付き、
  あわてて駆け出す。
 『ルージ!!』
  扉を全開にして入ってきたコト姉は、すかさずルージ君の元に駆け寄る。
 『あっ、コトナさん・・・お陰様で助かりました ・・って、、わっ?』
  ルージ君に抱き付くコト姉..
 『良かったぁ.. ルージ、、ほんとぅに良かった・・
  君がもし、目を覚まさなかったらって.. ほんとに心配したんだから・・・』
 『コッ、、コトナさん.. ? 』 『おっ、、おい、、コトナ、、、』
 『ちょっと 、大袈裟よぉ! ルージは.もうこの通り、、ピンピンしてるわよ! 』
 『..だって、、 だって.. ルージったら あの時、、 私の声で一度目を開けたのよ..
  なのに、、その後また目を瞑って、、 動かなくなって、、 そしたら急に、頭から血が流れてきて、、
  すぐにお医者様に診せに行っても、、
  もしかしたら、もう..目を覚まさないのかもって.. 言われたのよ・・・。
  そんなの心配して当たり前じゃない..!!』
  大粒の涙をぼろぼろと零すコト姉..
 『コトナ.. 』 :〔ミィ様〕
 『..ルージ.. もう.. 急に目を開けなくなったり、、 しないでね・・? 』
  部屋の中は一時静まり返り、 コト姉のすすり泣き声だけが、聴こえる..
  (( あぁ.. やっぱり..  私、、ルージの事が... ))

 『...大丈夫ですよ コトナさん.. 俺、、もう、何ともありませんから..
  コトナさんには また迷惑をかけて、本当にすみませんでした・・・。
  俺、、これからはもっとがんばって、みんなに迷惑を掛けないようにしますから・・・。』
  涙を拭って顔を上げるコト姉.
 『もっ、、そんな事.. 気にしなくてなくたって いいのに..!
  仲間なんだから、、ルージはどんどん私に頼っていいのよ・・?
  ..でも、、そうね..
  今日はみんなを心配させた罰として、、一日、安静にしてなさい..
  君は頭を 強く打ってるんだからね.. 絶対安静よ..!
  その代り、、今日は,君がして欲しい事なら、、私が何でも やって上げる..!』
 『えっ・・? 』
  思わぬ言葉に、ルージ君は驚く.
  しかし、横からは ミィ様とガラガが強烈な 炎を放っている.
 『..いえ、、さすがにそこまでは、、いいですよ..』 
 『遠慮しなくていいの. 私が したくてするんだから...   それとも..
  ..私じゃ迷惑・・?
 『そっ、、 そんなわけじゃ.. 』
 『それなら、決まりね・・? 』
 『..フンだ、、勝手にしなさいよ・・・!』
  部屋を出て行こうとするミィ様
 『あ、、ミィ.. 待って..!』
 『何よ!?』
 『えっと.. あっ、、そうだ、、
  俺、、 お腹が空いちゃってさ.. ご飯の時間まだかな・・? 』
  どっと笑い出す、ルージ君を除いた 全員.

 『しょうがないわねぇ..待ってなさい.私が今、、』
 『あら、、ダメよ ミィじゃ.. ミィの作る丸焼きじゃ 消化に悪いもの. ここは、私に任せなさい。
  ルージはおとなしくして待っててね・・? すぐにおいしいおかゆ、作ってきてあげるから・・・』
 『はい.. お願いしますコトナさん。』
  コト姉は トコトコと部屋から出て行く。
 『何よコトナったら.. 私もお料理なら、丸焼き以外でも作れるわよ.
  ..ねぇ、 ルージ・・? 』
 『えっ..うん.. でも、あれは ちょっと,, 消化には悪そうかな・・?』
 『何よルージ!!、、おいしいって 食べてたじゃない.. !!! 』
  思わずルージ君の首を絞めるミィ様.
 『ミィ..!』   :〔ロン〕
 『ハゥッ.. !? 』 :〔ミィ様_手を離す)
 『ルージ君は怪我人なんだから、、無茶しちゃダメだよ・・・!』
 『 ..ごめん.. 』
 『いや、、俺の方こそ... あの、、それに、、ミィの料理、、おいしいって言ったのはホントだよ・・・』
 『..うん...
  何故だか うつむいている2人.ロンは何かに感づく.
 『ガラガ、、そろそろ僕らは、外にいる連中を呼びに行こっか・・?』
 『えっおい、、俺は行かなくてもいいんじゃねぇか・・?』
 『いいから いいから、、ここは気を利かせてあげようよ・・・』
 『おっ、お.. ロン・・? 』
  ドアを開け、ガラガを押し出して行くロン.
 『じゃあ ミィ、、ルージ君をあんまりいじめちゃダメだよ・・?
  怪我人なんだから優しくしてあげなきゃね..』
  ロンはドアを閉める.
 『ちょっと ロォン.. !!  ..全く失礼しちゃうわね.. 私だって、そのぐらいできるわよ。』
  予期せず2人っきりになってしまったルージ君とミィ様.
  ミィ様は仕方なく、またベットの前のイスに腰掛ける.
 『だっ、、大体 みんな、大袈裟過ぎるのよぉ..
  ルージがあれぐらいで、死ぬはずないのに.
  あんな高い崖から転げ落ちて,,ほんのちょびっと頭を切っただけなんて、、
  こう言うとこだけはホント、、あきれるぐらい 運がいいのよね?,, 貴方って。』
 『..あっははっ、、やっぱり..そう なのかな・・・? 』
 『あぁっ!!』
 『えっ..何・・?』
 『だけど貴方. いくら自分が運がいいと思ってるからって、、
  あんな無茶、何度も、 繰り返しちゃ ダメよ!!
  ..リーオの弾に飛び込んで行くなんて、、自殺行為もいいとこなんだからね・・?
  ..そんな事ばっかりやってたら、、 いつかほんとに 死んじゃうんだから・・』
 『..うん、、ごめんよ...ミィ..   俺、、何だか ミィにも心配かけたみたいだね..?』
 『だっ、、 誰が あんたなんか.. 私は全っ然,, 心配してないわよ!』
  立ち上がるミィ様.
 『えっ・・そうなの・・? 』
 『だって ルージなんかぁ、、心配するだけ損だもの..!
  ...いっつも無茶な事して..いつまでたっても、全然 成長しないんだから.. 』
 『そっか、、そうだよね・・ 』
 『・・でも まだ...ルージは 死んじゃダメ..
  まだ、ジェネレーター..治し終わってないんだからね..
  いーい? ..ちゃんと最後まで.. 私に約束を果たさせなさいよね・・?』
  ミィ様は小指を差し出す.
 『..うん、、わかったよ.. ミィ... 』
  ルージ君も指を出し、、指切りする..
  滅多にない、いい雰囲気になる2人.

 『お待たせー! ルージ おかゆができたわよ!』
 『ワッ、コトナさん・・!?』
 『ッ.. 早かったわね・・?』
  すぐに, 繋いだ指を離す 2人.
 『・・ ((?)) ・・ おかゆなんだから、、早くできて当たり前でしょ・・? 』
  コト姉はおかゆを持ってルージ君のベットに腰掛ける。
  フーフーと スプーンにもった おかゆを冷まし、
 『さあ ルージ、、アーンして、、 ..アーン..!』
 『やっ、、コトナさん.俺、それくらいできますから・・』
 『遠慮しないの、、さぁ、アーンして・・? 』
  ミィ様はまた、そっぽを向く。
 『ほんとに・ほんとーに大丈夫ですから.
  お願いしますから、自分で食べさせてくださいよ コトナさぁ..! 』
 『えーー- ッ? ..しょうがないわね ・・熱いから気を付けてね?』


 〜 その頃、外に出たガラガとロン 〜




○◇◆◇  ◇◆◇____

○◇◆◇  ◇◆◇____

◎現在、このサイトには掲示板が無いので、2chに立てた板を利用させてもらっています.
 http://hobby8.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1145052371/l50
◆もし感想等がありましたらこちらに書きこんでください・・・。
  
ゾイド ジェネシス2_新天地編